半月板損傷

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半月板損傷とは?

半月板の構造: 外側半月板 / 内側半月板 右脚を正面から見た場合

半月板とは、大腿骨と脛骨の間にある軟骨組織のことです。ひざの内側と外側にそれぞれ存在し、関節に加わる負荷を分散させ、膝関節を保護するクッション的な役割があります。半月板損傷は、ひざに強い衝撃が加わることで、半月板に断裂が生じた状態のことで、運動時などひざに痛みが生じるようになります。

半月板損傷の主な症状

半月板を損傷すると、ひざが腫れたり痛みが生じます。重度になると、痛みだけでなく‘’ロッキング現象‘’という膝が急に動かなくなる症状があらわれる可能性があります。

半月板損傷の症状チェック

  • ひざの腫れ
    ひざが腫れたり熱感を帯びる
  • ひざのひっかかり感
    ひざを動かすときにひっかかるような感覚がある
  • ひざが曲げづらい
    ひざの曲げ伸ばし時に痛みがあり困難
  • ひざに熱感や、
    こわばりを感じる
    ひざに熱を持ち、重く感じる
  • 歩行時に、
    鈍い痛みを感じる
    歩き始めや歩いている最中に痛みを感じる

半月板損傷の原因

スポーツでの外傷や加齢によるもの

ひざへの急激な負荷が、軟骨を損傷

半月板損傷は、バスケットボールやサッカーなどのスポーツで、体重がかかった状態でひざをひねったり、強い衝撃が加わったりすることが原因となることが多いです。また、半月板は加齢によって劣化し、傷つきやすくなります。そのため、高齢者の場合はささいなケガや、日常生活の動作のなかでも半月板が損傷することがあります。
半月板損傷は長期間放置してしまうと、ひざに負担がかかることで膝軟骨がすり減り、変形性膝関節症を発症する可能性もあるため、早期の段階で治療し、機能を回復させることが重要です。

半月板損傷と診断された方の症例

半月板損傷のMRI画像(左ひざ正面) 内側半月板を横断するように、薄く白い線(断裂)が確認できる

ひざの症状を診察し、半月板損傷が疑われる場合はMRI検査を行います。半月板はレントゲンには映らないため、診断にはMRI検査が必須です。MRI検査をご希望の方用に、当院ではMRIひざ即日診断もご用意しております。
MRIでひざを正面から見た場合、半月板はひざの内側と外側に三角形のかたちで黒く存在しているのが正常な状態です。半月板が損傷していると、三角形の半月板の中に白い線(断裂)が認められます。

半月板損傷の症例1

年齢・性別 50代後半・男性
ひざのお悩み 登山やジョギングが趣味だったが、数年前から徐々に痛みを感じるように。ヒアルロン酸注射、鎮痛薬、湿布で治療中。
診断 半月板損傷(半月板断裂)

ひざの内側(後方)の半月板に亀裂が入っている状態(いわゆる半月板断裂)でした。MRIの画像上、正常な半月板は黒く描出されますが、損傷を受けている半月板は白く濁って見えます。この方の場合、靭帯や骨には異常が見られなかったので、半月板損傷と診断しました。

半月板損傷の症例2

年齢・性別 50代後半・女性
ひざのお悩み マッサージ治療を受けたあと、痛みを感じるようになった。鎮痛薬で治療中。
診断 変形性膝関節症

内側の半月板が変性断裂を起こしていました。変形断裂とは半月板の経年劣化ともいうべき状態で、半月板の表面がバサバサとささくれたような状態だとイメージしてください。加えて、軟骨のすり減りと、骨の変形(骨棘)も確認できました。以上から変形性膝関節症と診断しています。長引く膝の痛みにお困りの方/痛みの原因を確かめたい方はこちらへ
▷MRIひざ即日診断

半月板損傷の治療法【保存療法/手術療法/再生医療】

保存療法

軽症の場合は、まず保存療法を行います。保存療法には、薬物療法や物理療法、装具療法、運動療法などがあり、これらを組み合わせて行います。関節内に水が溜まっている場合は、注射で水を抜くことで、症状が緩和されます。一般的に、保存療法で効果が得られない場合は、手術療法が検討されます。

概要 メリット デメリット
薬物療法 外用薬(湿布)や消炎鎮痛剤の内服、ひざへのヒアルロン酸注射などを行う 痛みの改善が期待できる 継続的に治療を受ける必要がある
物理療法 機器によるひざの温熱や電気治療などを行う 運動以外で運動機能の活性化が期待できる 痛みや可動域が改善しないこともあるサポータなしでは痛みが取れない
装具療法 装具やテーピングなどでひざの補助・補強を行う 痛みの軽減が期待でき、動きやすくなる 装具がないと痛みが緩和されない
運動療法 ひざに負担をかけないための筋力強化を行う ひざ関節の負担要因(血流や体重)の改善 適切な方法でないと逆効果になることも

手術療法

ひざが動かなくなるロッキング症状がある場合や、保存療法で効果が得られなかった場合は手術療法が検討されます。手術は、半月板の損傷した部分を切り取る半月板切除術と、損傷した部分を縫い合わせる半月板縫合術の2種類があります。どちらも手術後はリハビリが必須です。スポーツへ復帰できるタイミングは、半月板切除術で約3ヵ月、半月板縫合術で約6ヵ月程度とされています。

概要 メリット デメリット
半月板
切除術
損傷した部位を切り取る手術 痛みの早急な軽減が期待できる 切除でひざ軟骨に負担がかかりやすくなり、将来的に変形性膝関節症を誘発する可能性がある
半月板
縫合術
損傷した部位を縫い合わせる手術 半月板を温存した状態で、機能回復が図れる 適応外の場合も多い(損傷部位の血行が良いこと、損傷からまだ間もないことなどが条件)

手術以外の治療法「再生医療」

保存療法を受けても効果を実感できない。
手術療法を勧められているが、できれば避けたい。
このような方のための新しい選択肢として再生医療があります。再生医療とは、患者様自身の血液や脂肪細胞に含まれる、組織の修復に役立つ成分を抽出し、これを膝関節内に注射するという治療法です。
注射だけの治療なので、入院の必要もありません。

当クリニックの治療法

当クリニックでは、ひざの炎症を抑えることや関節の潤滑を目的とする治療から、組織の修復を目指す再生医療まで、半月板損傷に対する様々な治療法をご用意しています。再生医療は、半月板損傷が悪化し、変形性膝関節症を発症した方にも効果が期待できる治療法です。

よくある質問

  1. 半月板損傷は自然に治ることがありますか?放置するとどうなりますか?

    一度損傷した半月板は自然治癒することはなく、長時間放置すると変形性膝関節症を発症する可能性があります。半月板損傷を放置しておくと、ロッキング現象やひざに水が溜まりやすくなるなど、症状が慢性化し手術を余儀なくされることも考えられます。
    変形性膝関節症を発症させないためにも、早期に必ず適切な治療を受けることをおすすめします。
    治療法には薬物療法と手術療法があり、重症度に応じて選択します。これに加えて、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法も並行して行うのが望ましいです。

    半月板損傷の治療や、筋トレ・リハビリについては下記コラムでも詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
    「半月板損傷は自然治癒しない?有効な治療法を専門医が解説」
    「半月板損傷のリハビリ【自宅でできる13の方法】」

  2. ひざのロッキングとはどんな症状ですか?

    半月板損傷が原因で、突然膝が動かせなくなる症状のことです。膝の曲げ伸ばしができず、歩くことも困難になります。ひざのロッキングは、損傷した半月板の組織が、関節の隙間に挟まることで起こる症状です。ひざが動かない、または伸ばしきれなかったり曲げきれない状態になり、強い痛みも伴います。ひざをゆっくりと動かすことで一時的に改善する場合もありますが、ロッキングの症状がある場合、通常は半月板の手術療法が検討されます。

  3. 半月板損傷は手術をしなくても治りますか?

    半月板の損傷部位や損傷の程度によっては、保存療法で症状が改善する場合もあります。
    保存療法が効かない場合、再生医療が適応となれば手術なしでの改善も期待できます。

    PRP-FD注射は、採血した血液から血小板を抽出・濃縮し、ひざに注射する治療です。血小板には組織の修復を促す物質が豊富に含まれているため、ひざに注射することで自己修復能力が一時的に高まり、ひざの痛みや機能の改善が期待できます[1]

    培養幹細胞治療は、脂肪組織から幹細胞を抽出・培養し、ひざに注射します。幹細胞をひざに投与することで、抗炎症作用や疼痛抑制効果、ダメージを負った組織の機能改善が期待できる治療です[2]

    当院では治療前にMRI検査を行い、ひざの状態を詳しく診察させていただいたうえで、再生医療の適応かどうかを診断いたします。再生医療により、どのような効果が見込めるかなども、わかりやすくご説明しております。半月板損傷の手術以外の治療法を探しているという方は、はじめての来院予約より、ぜひお問い合わせください。

  4. 半月板損傷の手術後でも再生医療は受けられますか?

    術後のひざの状態を医師が診察し、再生医療が適応となった場合は受けていただけます。半月板損傷の手術後、ひざの痛みが改善されない場合は、再生医療でひざの状態を改善できる可能性があります。半月板はレントゲンでは見えないため、当院ではMRIひざ即日診断を行ったうえで、実際のひざの状態とMRI画像をを拝見し、治療の適応診断をいたします。半月板損傷の手術後でも、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

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