歩くことは、日常生活で欠かせない行動です。それが膝の痛みによって制限されることは、とてもお辛いことでしょう。この「歩くと痛い」という症状は当院でもトップクラスの相談内容です。では、なぜ歩くと膝が痛むのか、また放置すればどうなってしまうのでしょうか? すぐできる対処法から痛みをぶり返さないための治療まで、実際に当院のケースも踏まえてお話させていただきます。
目次
- 40代以上で「歩くと膝が痛い」。疑うべき疾患は?
- 40代以上なら疑う変形性膝関節症
- 変形性膝関節症の慢性痛とケガの急な膝痛の違い
- どうして膝が痛くなる?3大原因を知ろう
- 40代以降の女性特有の、膝痛の原因とは?
- 歩くと起こる膝痛の今すぐできる対処法
- カロリー制限ではなくバランス重視の食事
- 歩かなくてもできる膝周りや股関節周囲の筋力強化
- ウォーキングは歩きすぎに注意!
- 膝の痛みを放置すると…進行と未来予想図
- 症状に見る変形性膝関節症の進行レベル
- 車いす、寝たきり…放置がたどる未来予想図
- 膝の痛みはどう治療するの?どれくらい改善するの?
- 初期に手を打てれば、手術いらずの治療でOK
- 進行してしまうと選択せざるを得ない手術
- 新しく加わった再生医療という選択肢
- 膝に痛みのない生活は気軽な相談から
40代以上で「歩くと膝が痛い」。疑うべき疾患は?
膝関節は複数の骨で支え合い、骨をつなぐ靭帯、骨の表面をカバーする関節軟骨や半月板などで構成されていて、下図に示された以外に膝関節の外側にも関連する組織が様々あります。ただ小さな膝関節で全身の負荷や急な動きからくる衝撃をカバーするには限界があり、これらの組織がダメージを負うことも少なくありません。歩くことで膝に痛みが生じるのも、そんな異常を知らせるシグナルのひとつなのです。ゆっくりなウォーキングで膝が痛い、違和感があるという方も、そのシグナルを受け取っている可能性は考えられます。
40代以上なら疑う変形性膝関節症
もしあなたが40代以上だとしたら、変形性膝関節症がまず可能性として考えられるでしょう。変形性膝関節症とは、軟骨がすり減って関節内に炎症が起こる疾患で、代表的な症状としては、歩くと痛い(ウォーキングなどで歩き始めに膝が痛いが、しばらくすると落ち着く)、階段の上り下りがつらいことなどがあげられます。要因は様々ありますが、加齢による組織の衰えもそのうちのひとつです。グラフを見ても有病率の急増は50代以降ですが、40代でも予備群になっていることはおおいに考えられます。加えて女性であれば、その可能性がさらに高まります。
また、若いからと言って油断はできません。本格的にスポーツに取り組んでいた方などは膝を酷使しているため、若くして変形性膝関節症になりやすいのです。実際の診療でもスポーツをしていた20代の患者さまの膝を検査すると、軟骨がすり減り、変形性膝関節症がすでに進行していたというケースがありました。膝への酷使に心当たりのある場合、階段を歩くと膝が痛いなどの症状が見られるなら、20代や30代でも注意が必要なのです。
変形性膝関節症の慢性痛とケガの急な膝痛の違い
年齢やスポーツ歴など患者さまの背景にもよりますが、膝の痛みにおいて歩くと痛い場合、変形性膝関節症は疑うべき疾患です。ただ、きちんと確定診断するまでは他の疾患の可能性も捨てきれません。例えば、半月板や靭帯のケガです。半月板損傷だと体重をのせたときや動いたときに強い痛みを感じます。靭帯を損傷した場合も、歩くときに急に動けないような膝痛を伴うことがあります。ランナー膝やジャンパー膝、鵞足炎など靭帯の炎症では、歩き始めは刺すような痛みがあるものの、動いているうちに落ちついていきます。一方、変形性膝関節症は初期であれば、違和感にも近い鈍い鈍痛が特徴的です。
変形性膝関節症とケガでは、痛みの経過にも違いが見られます。変形性膝関節症の初期は痛みも軽度ですが、進行するにつれてどんどん強くなり、何もしてなくても膝に痛みを感じるようになります。対して、半月板損傷や靭帯損傷などの外傷では受傷直後の痛みが最も強く、体重をかけるなどしなければ、徐々に緩和する傾向があります。靭帯炎も安静にすれば落ち着くことが多いです。
変形性膝関節症 | 膝のケガ | |
疾患に ついて |
体重や加齢などの要因によって蓄積された負荷で軟骨がすり減り、その影響で起こる炎症で膝に痛みが生じる | 半月板や靭帯などがスポーツや事故などの負荷によって損傷もしくは炎症を起こし、痛みが生じる |
痛み方 | ・初期はこわばるような、重くて 動かしづらいような鈍い痛み ・進行すると立ったり歩いたりする ことが困難な強い痛みが続く |
半月板損傷:動いたり体重をかけると痛い 靭帯損傷:強い痛み 靭帯炎:動き始めや直後に刺すような痛み/該当部を押すと痛い |
痛みの経過 | 初期は歩き始めなどに痛むものの、少し休めば治まる程度だが、進行するにつれて痛みが増したり治まらなくなり、末期では安静にしていても強く痛む | 半月板損傷:受傷時に強い痛みが生じ、悪化すると激痛を伴う 靭帯損傷:受傷時に激痛があるが、2~3週間で落ち着くこともある 靭帯炎:安静にしていれば落ち着きやすい |
痛み以外の症状 | こわばり/曲げ伸ばしづらい/水がたまる/腫れ/正座できない | 半月板損傷:膝の引っかかり感/曲げ伸ばししづらい/急に膝が動かない 靭帯損傷:受傷時に「ブチッ」という音/曲げ伸ばしづらい/腫れ/膝の不安定感 靭帯炎:腫れ/熱感 |
どうして膝が痛くなる?3大原因を知ろう
歩くと痛いという膝の症状ですが、その原因は意外と身近に潜んでいます。スポーツや事故によるケガを除けば、膝の痛みは関節への負担の蓄積によるものがほとんどです。その負担の代表的なものが次の3つになります。
1. 体重
2. 加齢
3. 筋力低下
まず体重ですが、膝関節にかかる負荷は体重と同じではなく、歩くだけでも2~3倍かかっています。体重が60kgとしたら、120~180kg。つまり肥満は膝関節の大敵というわけです。実際、体重の増加で変形性膝関節症の発症リスクが高まる研究報告もあります[1]。
また、変形性膝関節症のお話で年齢にも触れたように、軟骨など関節内の組織が衰えるため、加齢でも膝への負担は増加します。さらに、負荷を軽減するためには一定の筋力が必要なので、加齢や運動不足で膝周辺の筋力が低下しても膝の痛みにつながります。
40代以降の女性特有の、膝痛の原因とは?
女性だと変形性膝関節症が若いうちから発症しやすいとお話しましたが、上記の原因にも性別は関係しています。例えば、女性の身体は妊娠・出産に備えてエネルギーを蓄えやすくなっています。そのため男性より肥満になりやすいのです。また筋力についても、そもそも筋肉量が男性より少ないため、筋力低下が膝関節への負荷につながりやすいと言えます。
さらに、40代以降の女性の場合、膝の痛みの危険因子として、関節の配列の崩れやホルモンバランスの影響も考えられるでしょう。股関節から足関節までの配列が正しくないと膝関節に均等に荷重がかからず、変形性膝関節症のリスクが高まるのですが、ハイヒールなど不安定な靴での歩行は下半身の関節バランスを崩す要因のひとつです。また、女性ホルモンのエストロゲンは骨量を増やし骨を強くする働きを担っていますが[2]、軟骨細胞の機能に影響しているという報告もあります。閉経する少し前から女性ホルモンのエストロゲンが急減するため、女性は40代後半くらいから骨がもろくなりやすいく、変形のリスクが高まるのです。
歩くと起こる膝痛の今すぐできる対処法
膝への負担が大きいことで症状が現れているのですから、それを減らせば痛みの改善が期待できます。その方法は原因からも一目瞭然。①健康的な食事で体重をコントロールすること、②膝まわりの筋力を強化、もしくは維持できるよう努めること、この2点を意識しましょう。
カロリー制限ではなくバランス重視の食事
食事は高カロリーになってしまいがちな外食や出来合いのものを控え、野菜中心のヘルシーなものを心がけましょう。ただし、栄養バランスは大前提。肉や糖質を食べず野菜だけ食べる、食事回数を減らすなどの極端な方法は逆効果です。タンパク質は筋肉量の維持に必要ですし、基礎代謝が落ちてしまっては体重も減りにくくなってしまいます。1日の消費エネルギーのうち6~7割は基礎代謝です。そのうち4割が筋肉によって消費されていることを知れば、肉や魚もバランス良く摂取することがいかに大切かお分かりいただけるかと思います。
40代以降の女性では膝の痛みにエストロゲンの減少も関係するため、同じ働きが期待できるイソフラボンを多く含む豆腐やきなこ、納豆などを取り入れるのも良いでしょう。
歩かなくてもできる膝周りや股関節周囲の筋力強化
食事改善に加えて、膝周りの筋トレも取り入れることが有効です。筋トレといってもすき間時間に気軽に取り組めるもので構いません。次のようなトレーニングを日常に取り入れ、3か月くらい継続して行ってみてください。
例えば、膝に関連する筋肉でもっとも大きいのは太もも前側の大腿四頭筋ですが、この筋肉を鍛えることで変形性膝関節症患者の痛みや生活の質を改善するのに効果的だったということも、実際に報告があります[3]。また、変形性膝関節症患者は患っていない人と比較して、股関節周りの筋力が著しく低下していることも報告されています[4]。大腿四頭筋と併せて、内転筋や外転筋などの股関節周囲の筋肉も鍛えることをおすすめします。
そして、肉の強化と一緒にぜひ行ってほしいのがストレッチです。筋肉の柔軟性を高めることでも膝の痛みの改善がのぞめますし、動きも良くなることが期待できます。関節の配列が崩れているO脚改善にもストレッチは有効です。
詳しくトレーニングやストレッチ方法をご覧になりたい方はコチラ
>【動画有り】変形性膝関節症に効く! 室内で簡単にできる筋力トレーニング
ウォーキングは歩きすぎに注意!
取り組む運動はあくまで無理のない範囲で行うことも大切です。クリニックでも「がんばって1万歩歩きました!」というお話を伺うことがありますが、高齢者の方や膝に痛みを感じている場合は、はっきり言って歩き過ぎです。ウォーキングに使う筋肉は日常でも使っている筋肉です。膝関節の負担を減らす運動にはあまりなりません。膝に負担をかけない歩き方で、サポーターなども併用して5,000~7,000歩くらいにとどめておきましょう。ダイエットのための有酸素運動であれば、筋トレの前に20分ほど軽く散歩する程度で十分です。(膝に負担の少ない歩き方については、ページ下のよくある質問もご覧ください)。もし物足りないなら、膝への負担を軽くするという意味で、プールで歩くというのも一つの手です。
何にしても、痛みを我慢して取り組んだり、いきなりたくさんやったりするのはおすすめできません。おすすめした方法であっても、痛みが強くなるようならすぐにやめ、医療機関にご相談ください。
膝の痛みを放置すると…進行と未来予想図
膝の痛みを放置すると、最初は些細な炎症やケガであっても、正常な関節ではないため負荷が蓄積され、いずれ変形性膝関節症を患い悪化させてしまうリスクがぐんと上がります。そうするとどうなってしまうでしょう。これは日本の健康寿命と平均寿命との格差にも関係しているのです。
症状に見る変形性膝関節症の進行レベル
変形性膝関節症は初期・進行期・末期へと進行し、そのレベルは予備軍を入れると4段階のグレードに分類されます。
歩き初めや立ち上がるときに膝が痛んだり、膝がこわばるなどの症状が見られるのが初期のグレード2です。関節の隙間が狭まり始め、レントゲン画像では骨が部分的に棘のように変形していることも多く、変形性膝関節症の診断がつけられます。ただ、グレード1も小さな骨の異常が検査で確認でき、目立った症状がなくても罹患リスクの高い予備軍に分類できます。
また、進行期のグレード3になると、階段の上り下りで痛みを感じたり、曲げ伸ばしがしづらくなったり、膝に水がたまることもあります。そして末期まで進行してしまうと、安静にしていても痛みを感じ、歩くことすら困難に。関節内では骨の損傷が進み、膝が大きく湾曲してしまうことも特徴的です。
車いす、寝たきり…放置がたどる未来予想図
変形性膝関節症の初期は、痛みを覚えてもたいしたことないと思う人もいるでしょう。ただ、変形性膝関節症は放置しても自然治癒することはありません。進行するのみです。最初は歩くと痛いくらいかもしれませんが、ある程度進行すると膝を曲げられる角度が小さくなっていくことが海外の研究では確認されています[5]。その動きづらさから運動機会が減ると、筋力の低下で膝関節への負担が増し、さらに悪化するといった悪循環が考えられます。生活に支障が出始め、外出が減ることで楽しみも少なくなってしまい、家にいる時間が多くなる方も少なくありません。動かないからさらに悪化し、車いす生活を余儀なくされたり、寝たきりになってしまうケースもあるのです。
ただ、進行を遅らせることはできるので、先におすすめした生活改善や運動を行ったり、早めに病院を受診しましょう。これくらいの痛みで…とためらわれるかもしれませんが、できるだけ悪化しないうちに相談して診断を仰ぐことがこの最悪の未来を回避し、健康寿命を長くするための一歩なのです。
膝の痛みはどう治療するの?どれくらい改善するの?
医療機関を受診すると、まず診察や画像検査が行われ、医師の確定診断となります。これにより、適切な治療法が提案されるわけです。症状や進行具合によって、内服薬や外用薬、注射、手術など様々。また、近年は再生医療という選択肢も増え、患者さまがご自身の生活やライフプランに合った治療法を選ぶことが、以前より柔軟に出来るようになってきています。
初期に手を打てれば、手術いらずの治療でOK
早期に診断できれば、体への負担の少ない治療法で改善が期待できます。まず、ロキソニンなどの内服薬や湿布薬、または関節内のクッションとなるヒアルロン酸成分や、抗炎症作用を持つステロイド剤を注射し、痛みを緩和させます。歩いたり動いたりするときの膝の痛みが和らげば、運動療法も組み合わせます。膝まわりの筋肉のトレーニングやストレッチ、ウォーキングなどをして体重を減らすのも良いでしょう。これを3~5週間ほど行うことで、薬なしでも歩くときに痛みを感じなくなってきます。生活が改善されたことで、痛みの再発なく過ごせる方も実際いらっしゃいます。
ただ忘れてはいけないのが、薬物で膝の状態が改善するわけではないということです。痛みが良くなったと感じてもそれは一時的です。薬や注射に加えて、運動が肝であることを忘れないようにしましょう。また、薬物療法で痛みをコントロールできなくなってきたら漫然と続けないで、違う治療法を検討することをおすすめします。
進行してしまうと選択せざるを得ない手術
薬物での痛みのコントロールが困難になったり、日常生活に支障が生じているような段階では、手術という物理的な方法で膝関節の構造を改善し、痛みなく歩くことができるよう試みます。
方法としては、高位脛骨骨切り術と人工関節置換術があります。骨切り術は膝の周辺(脛骨内側部)を切開しますが関節自体は温存することができるため、スポーツをすることも可能です。この手術を受けて、その後に大きく悪化することなく、自分の関節で一生を送ることができるケースもあります。
一方、人工関節置換術はその名の通り、関節を人工器具に置き換える手術です。末期になるとこの方法しか改善を期待できる方法はなくなります。スポーツを楽しむことはできませんが、日常生活が不便なく行える程度までの回復が期待できます。
ただしこれらは入院を伴う手術です。体への負担が大きいことは否めません。感染症や血栓症、経過が芳しくなければ再手術も検討しなければいけないことなど、リスクはきちんと理解しておく必要があります。
詳しい手術の内容についてはこれらも参考にしてみてください。
>変形性膝関節症の手術【費用/タイミング/術後の生活について】
>人工膝関節置換術の術後について【合併症と生活上の注意点】
新しく加わった再生医療という選択肢
膝関節の状態が進行期まで悪化すると手術を検討するのが、これまでの常識でした。しかし、近年では再生医療による治療法が広まってきていて、手術で長期入院して人工器具を入れなくても、膝の痛みや関節の状態の改善が望めるようになっています。
使用するのは、患者さまご自身の血液や脂肪に含まれる成分や細胞です。これを膝関節内に注射することで、軟骨の破壊を抑える働きが得られ、変形性膝関節症の進行スピードを遅らせる効果が期待できます。注入成分が働いている間ずっと炎症を抑制する反応も起こるので、当院の症例では膝の痛みが長期的に改善。
治療法や治療前の膝関節の状態にもよりますが、過去の実績を検討すると、患者様の6割以上が、半年経過時点でも効果を実感していることが明らかになりました[6]。
当院を受診される患者さまは進行期~末期の方が多いので、治療前は生活すらままならない、ヒアルロン酸注射が効かないといった方もいらっしゃいます。それが治療後に、てきぱき家事ができている、趣味の空手やマラソンが再開できて大会を目指せる、孫のところへ旅行に行けたなどのお話をお伺いすると、自分事のように嬉しくなります。
<当院で治療した方の歩行比較の比較>
膝に痛みのない生活は気軽な相談から
歩くと痛いという症状をもとに、変形性膝関節症に焦点を当てた改善方法や治療法をお話してきましたが、先にも言ったように膝関節の痛みは他の原因も考えられます。原因がわからないまま曖昧に対処したり放置すると、望まない未来に向かう可能性が高まってしまいます。もし痛みが続くようなら、医療機関を早めに受診して確定診断をあおぎ、原因に対して適切な治療方法を考えましょう。それが痛みをぶり返さないための方法です。当院でも詳しく診察し、膝の状態や今後の予測についてのお話をしたり、患者さまのライフスタイルに合った適切な治療方法について一緒に考えております。まずはお電話やご予約フォームからお気軽にご相談ください。
コラムのポイント
- 歩くと膝が痛い原因は日常にあることが多い
- 病院に行くほどではないと自己診断し、放置することは絶対NG
- 適切な治療と運動を組み合わせれば、痛みのない生活を維持できる
よくある質問
歩くと膝の内側が痛いのですが、原因は何が考えられますか?
変形性膝関節症、半月板損傷、鵞足炎などいろいろ疑われます。
いただいた情報だけですと、どこが悪くなっているか絞り切れず、原因も特定できません。ただ、歩くと膝の内側が痛いということでは、まずこれらが頭をよぎります。
日本人はO脚の方が多いので関節の内側に負荷がかかりやすく、内側型の変形性膝関節症を発症しやすいのです。また半月板の内側を損傷すれば、痛みも膝の内側に出やすいでしょう。
この他には鵞足炎が考えられます。太ももの筋肉は膝の内側で関節とつながっているのですが、その部分を「鵞足」と呼びます。この部位の筋肉が硬くなって引っ張れたり、腱の間にある滑液包が炎症したりすることで痛みを感じることがありますが、これを鵞足炎と言います。変形性膝関節症にならび、膝の内側の痛みの代表的な原因です。
いずれにせよ、診察やレントゲン検査をしてみないと原因はわかりかねますので、まずは医療機関を受診することをおすすめします。
>膝の内側の痛みに関するわかりやすいコラムはこちら
歩くと痛いというのは、膝の状態としてかなりまずい状態でしょうか?
日常生活に関わる動きなので、軽度なうちに改善しておいた方がよいでしょう。
痛みの程度によっても膝関節の状態は違ってきますが、例えば歩き始めに痛くて、歩いているうちに徐々に落ち着いてくるようであれば、変形性膝関節症の初期かもしれません。そうではなく、歩いているとずっと痛い、階段の上り下りが特につらい、歩行時に加えて曲げ伸ばしもしにくいようであれば、さらに進行していることも考えられます。
治療は早い段階で行った方が良い効果が得られるので、放置しないようにしてください。気になるようであれば、膝の痛みについて危険度がわかるリストも紹介しているので、参考になさってみてください。
>膝の痛みの危険度チェックリスト
変形性膝関節症ですがウォーキングで注意することはありますか?
歩きすぎないことと、膝に負担をかけない歩き方を意識してください。
まずは歩くときに痛みがあるなら、無理をしないことが大切です。痛みが落ち着いているようでも膝に過度な負担がかからないよう、歩きすぎないようにしましょう。
また、歩き方にも注意が必要です。日本人の多くは前かがみで膝を曲げたまま足を前に出すような歩き方なのですが、それでは膝関節にも負荷がかかりやすく、変形性膝関節症が進行してしまうリスクが高まってしまいます。次のような歩き方を意識してみてください。
・背筋を伸ばす
・下腹部中央に軽く力を入れる
・膝を曲げないように、足を伸ばしたまま前に出す
・かかとから着地し、つま先で地面を蹴る
・腕は軽く曲げて、頭は揺らさないよう前を見る
参考
- [1]∧Obesity and osteoarthritis. Lementowski PW, Zelicof SB Am J Orthop (Belle Mead NJ). 2008 Mar; 37(3):148-51.
- [2]∧Mikihito Hayashi, et al. Autoregulation of Osteocyte Sema3A Orchestrates Estrogen Action and Counteracts Bone Aging. Cell Metab. 2019 Mar 5;29(3):627-637.
- [3]∧Aline Mizusaki Imoto, et al. Quadriceps strengthening exercises are effective in improving pain, function and quality of life in patients with osteoarthritis of the knee. Acta Ortop Bras; 20(3): 174–179. 2012.
- [4]∧Hinman RS, et al. Hip muscle weakness in individuals with medial knee osteoarthritis. Arthritis Care Res (Hoboken). 2010 Aug;62(8):1190-3.
- [5]∧齊藤 明ほか. 変形性膝関節症における膝関節水腫と膝関節筋機能との関係 理学療法学 Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
- [6]∧大鶴任彦他「変形性膝関節症に対するBiologic healing専門クリニックの実際とエビデンス構築」関節外科 基礎と臨床 39巻9号 2020年9月
人工関節以外の新たな選択肢
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