半月板損傷でよくある膝のロッキングとは【原因・繰り返す時の対処法】

膝のロッキングのイメージ

公開日:2022.11.30
更新日:

急な激しい痛みと共に、突如として膝が動かなくなってしまう現象をロッキングといいます。
このロッキングが起こる原因、応急処置の仕方、長期的な対象法について詳しくご紹介します。突然の事態にも慌てず対処できるよう、日頃からロッキングに悩まされている方はぜひご理解ください。

情報提供医師

尾辻 正樹 医師

尾辻 正樹 医師(ひざ関節症クリニック 理事長)

日本整形外科学会認定 専門医

なぜ起こる? 膝のロッキングとは

膝関節のロッキングとは、突然膝がロックされたように動かせなくなる状態を指します。それに加えて激しい痛みを伴うので、歩くことも困難になります。
ロッキングは、何らかの理由で膝関節内を漂っている浮遊物(例えば半月板組織、骨、軟骨などのかけら)が、何かの拍子に関節の隙間に挟まってしまったときに起こります。

ロッキングには前兆がある?

膝のロッキング現象は初回の受傷時でも見られることはあります。
その一方で、激痛が起こる前に以下のような症状が現れる傾向もあります。このサインが見られたら要注意。見逃さずに注意しましょう。

  • 膝が引っ掛かったような痛みがある
  • 膝に力が入らない
  • 膝が抜けるような感覚がある
  • 膝関節部が腫れて膨らんでいる
  • スポーツなどで膝を打った後、痛みが長く続いている

ロッキングの原因となる膝の疾患は?

原因となる疾患は、半月板損傷、変形性膝関節症、離断性骨軟骨炎などです。

半月板損傷

半月板損傷はロッキングの原因として最も頻繁にみられます。
歩いたりしゃがんだりといった何気ない動作をするだけでも、膝関節には体重の何倍もの負荷がかかります。半月板は、そうした負荷を和らげるために関節内に備わっている、クッション材の一つです。この半月板が、外からの強い衝撃や経年劣化によって、断裂したり亀裂が入ったりした状態を半月板損傷と言います。
ロッキングという現象は、損傷を受けた半月板が関節の隙間に挟まることで生じます。

縦断裂 横断裂 水平断裂 変性断裂
損傷の状態 半月板が縦に断裂 半月板が横に断裂 半月板の表面が
めくれるように
損傷
半月板がバサバサと
ささくれるように損傷
原因 ケガなどの外傷性の要因 ケガなどの外傷性の要因 ケガなどの外傷性の要因 加齢の影響
断面図 半月板の縦断裂 半月板の横断裂 半月板の水平断裂 半月板の変性断裂

スクロールできます

半月板損傷やその治療について詳しく知りたい方は以下のコラムもぜひご覧ください。
▶︎「半月板損傷は自然治癒しない?保存療法から手術療法まで有効な治療法を解説」
▶︎「半月板損傷のリハビリ【自宅でできる13の方法】」

変形性膝関節症

摩耗した軟骨のすり減りに端を発し、ひざを曲げたり伸ばしたりするときの違和感や、何か動作を行ったときに痛むといった症状から、慢性的な炎症による強い痛みが継続するといった症状へと進行していくのが特徴です。末期には軟骨が完全に失われて骨と骨が直接触れ合うようになり、その結果、骨の損傷や関節の変形をきたすようになります。
ロッキングは、欠けた軟骨や損傷した半月板が膝関節に挟まることで生じることがあります。

正常な膝関節と変形性膝関節症が進行した膝関節

変形性膝関節症やその治療について詳しく知りたい方は以下のコラムもご覧ください。
「変形性膝関節症の治療法を徹底解説!治療ごとのメリット・デメリットは?」
▶︎「膝からポキポキ音が鳴ったら要注意! 見逃せない変形性膝関節症の兆候」

離断性骨軟骨炎

離断性骨軟骨炎の好発部位

関節の軟骨が剥がれ落ちてしまう疾患で、好発するのは小中学生の男子(10代前半)です。
多くの場合、スポーツや外傷を契機に発症します。
軟骨の下の骨に負荷がかかることが原因と考えられており、それによって生じる血流障害によって骨壊死が起こり、その結果、表面の軟骨が剥がれ落ちます
欠けた軟骨片が遊離して関節に挟まると、ロッキングを生じます。

自分で治すことはできる?(ロッキングの解除法)

巷には自分でロッキングを解除する方法などが動画で紹介されていますが、一般の方が不用意に行うと状態がさらに悪化してしまうことになりかねません。ロッキングになってもご自分で対処することは控えて、必ず医師の診察を受けるようにしてください。
整形外科でロッキングを解除する場合は、局所麻酔薬を関節内に注射してから、関節に挟まった物体が外れるように動かしたり伸展させたりします。繰り返し起こってい習慣性のロッキングであればこの方法で外れることもありますが、初回だと難しいことも少なくありません。そうしたケースでは患者さまの生活背景を考慮しつつも、早期の手術を検討します。MRI検査で原因を確定し、手術で的確なアプローチを行うことも、ロッキングの繰り返しを予防し膝関節を守るためには大切だからです。

ロッキングを繰り返す場合はMRI検査を

何度もロッキングに悩まされる方、根本から治したいとお考えの方は、まずはMRIできちんと検査して原因を突き止めましょう。もし膝の中の浮遊物が原因であれば、それを取り除く治療(関節鏡手術など)の必要性を医師とともに検討してください。
当院でも、近隣の検査機関と連携してMRI検査を受け付けております。原因不明の痛みにお悩みの方や、痛みの原因の解決につながる根本的な治療をご希望であればぜひご相談ください。

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コラムのポイント

  • 膝関節のロッキングとは、膝の間に軟骨や半月板のかけらが挟まって動かせない状態
  • ロッキングの原因は半月板損傷、変形性膝関節症、離断性骨軟骨炎
  • ロッキングが頻繁に起こる場合はMRI検査を受ける

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変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
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